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禁断のSUNO

エッセイ

AIからの悪魔のささやき

とうとう手を付けてしまった。

AI音楽生成サービス、SUNOである。

以前から存在は知っていた。

SNSでは絶賛する人もいれば、
音楽の終わりだと嘆く人もいた。

だが私はあえて距離を置いていた。

理由は簡単だ。

怖かったのである。

もし本当に凄かったらどうしよう。

もし私が何年も夢見ていたものが、
たった数分で形になってしまったらどうしよう。

そんな思いがどこかにあった。

だから見て見ぬふりをしていた。

しかし好奇心には勝てなかった。

試しに幾つかプロンプトを入力した。

複雑な指示を書いたわけではない。

むしろ驚くほど簡単な言葉だった。

すると数分後、
私のイヤホンから流れてきた音楽に言葉を失った。

そこには確かに私が思い描いていた世界があった。

完全ではない。

荒削りな部分もある。

だが間違いなく私の頭の中に存在していた景色だった。

特に衝撃だったのは、
音楽的な知識がそれほど無くても
作品が成立してしまうことだった。

もちろんプロの作曲家になれるわけではない。

しかしアイデアを形にする速度が異常に速い。

かつて楽曲制作には大きな壁が存在した。

作曲。

編曲。

演奏。

録音。

ミックス。

マスタリング。

SUNOはその壁の多くを一気に飛び越えてしまう。

そして私は気付いた。

これまで自分が作れなかったのは、
才能が無かったからではない。

技術的な制約が大き過ぎただけなのかもしれない、と。

もちろん課題もある。

同じような曲が生成されることもある。

狙った通りにならないこともある。

著作権や音楽業界への
影響についても議論は続くだろう。

それでも私は、この流れはもう止まらないと思う。

インターネットが消えなかったように。

スマートフォンが消えなかったように。

AI音楽もまた当たり前の存在になっていくのだろう。

今では毎日のように新しい曲のアイデアを試している。

バロック音楽とアフリカンドラム。

フレンチボサノバ。

シンセポップ。

かつてなら思いついて終わりだった発想が、
次々と音になって現れる。

正直に言えば恐ろしい。

だが同時に、
この年齢になって久しぶりに未来を感じている。

SUNOは音楽を奪うものなのだろうか。

それとも音楽を解放するものなのだろうか。

その答えはまだ分からない。

ただ一つだけ確かなのは、
私はもう禁断の扉を開けてしまったということだ。

そして今のところ、
その向こう側の景色は想像していた以上に美しい。

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